■ 空を仰いで  VOL,1

あの戦いから。すでに1年が経っていた。

各国は元いた、また新たな王族により復興が進められていた。 誰もが1年前の戦いを記憶の底に沈め、ようやく新しい一歩を踏み出そうとしていた。

だが、あの戦いの中心人物達は忘れる事ができなかった。
クリスタルの神秘、深い闇の存在の正体。
そして、ある兄弟の事を…
あまりに悲しすぎた血のつながりを、忘れる事はできなかったのである。そうして月日は流れ…

――――場所はエブラーナ
唯一王家の血をひいているので仕方ない、といった表情で王座にいるのは意外と しっかりした本名を持っているエッジ、エドワード・ジェラルダイン国王陛下である。
彼の目の前には毎回眉間にしわを寄せている大臣がいつものような小言を、 いつものように同じ表情で、いつものような順番で怒鳴っていく。 ようするにエブラーナは平和なのである。 それゆえか、怒られている筈のエッジが、 毎回毎回同じ事を同じ順序で同じようにいうの事を本気で感心していた時だった。
兵士が飛び込んできたのは。
「バロン国王妃、ローザ様がお見えになりました!」

兵士に案内された客室にローザはいた。何故かその表情は疲れ果てていて、脆い硝子のようだった。
つい、先日のように思えるバロンでのセシルとローザの結婚式。 その時の少女のような幸せそうな表情と今はまるで別人だ。
「…………!………エッジ…………!」
ローザはエッジに気付き、微笑んで見せた。 が、エッジにはすぐに分かった。無理矢理笑っているのだと。 何があったのか。セシルがいるならバロンにいるはずだろう。 どんな理由でバロン国王妃であるローザが疲れきった表情でここにいるのか。 答えは分かる気がしたが、それは言ってはいけないように思えた。
再会の挨拶を適当にし、兵士をすぐに下がらせ、エッジが口を開く前に、
「ごめんなさい。急に来て…」
エッジより先に口を開いたのはローザだった。 これにはエッジもお就きの大臣もビックリしていた。
「あ…ああ、いや大丈夫だ。それで……どうした?」
だらだらと長い挨拶をしている場合ではない。昔の感傷に浸っている場合でもないだろう。 エッジは簡潔に用件のみを切り出した。その質問に答えたのはローザの隣にいた老人、シドだった。
「それはわしから話そう。単刀直入に言う。セシルが姿を消した」

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